大学の設立や大学の運営にメーカーなど企業が出資など関わった大学が幾つかあるのは知っていますか?
企業が関わった大学の事を企業系大学などと呼んでいる様ですが、多くの企業系大学は元を辿れば企業が出資して設立した大学や運営に携わった大学と言う感じで、昔とは異なり企業と大学の関わり方も薄らいでおり知っている方は少ないでしょう。
企業系大学なのだから就職に有利なのでは?と考えている方もいるでしょうから、企業系大学の評判と就職を見ていきましょう。
企業系大学の評判と就職
では、そんな企業系大学の評判と就職先や就職率を見ていきましょう。
就職率は2018年度時点の就職希望者を対象とした数値です。
豊田工業大学
学校法人トヨタ学園が運営する豊田工業大学は、ご存知の通りトヨタ自動車によって社会貢献の一環として出資設立された大学です。
かなり評判が良く、中でも学費の授業料が年間60万円という安さも有名です。
就職率もランキング1位である事が多く100%であり、就職先もトヨタグループの限らず他の自動車メーカーの他に多くのメーカーへ就職をしています。
学部は工学部のみ学科は先端工学基礎学科のみの少人数制の大学という事もあり入学するのは結構難しく偏差値は気にしない方が良いかも知れません。
大同大学
学校法人大同学園が運営する大同大学は、大同特殊鋼を中心とした中部電力や関西電力、東邦ガスや名古屋鉄道といった中部地方の大企業によって共同出資設立された大学です。
意外と評判が良く、学部は工学部と情報学部が設置されており、学科は機械・電気電子工学・建築・情報システムなど主に理系となっています。
就職率は97.7%(2018年度)となっており、主な就職先は大同特殊鋼は勿論ですが機械メーカーや鉄道会社へ就職するケースも多いようです。
湘北短期大学
学校法人ソニー学園が運営する湘北短期大学はソニーによって出資設立された大学です。
ソニーと聞くと総合電機メーカーのイメージが強いですが、湘北短期大学では総合ビジネス・情報学科、生活プロデュース学科、保育学科が設置されておりソニーのイメージとは少々異なります。
就職率は98.5%(2018年度)で、就職先は小売・サービス・保育関連の会社へ就職する事が多いようです。
東洋食品工業短期大学
学校法人東洋食品工業短期大学が運営する東洋食品工業短期大学は、東洋製罐によって出資設立された大学です。
東洋食品工業短期大学には東洋製罐だけあって包装食品工学科があり、包装食品工学科が設置されているのは多分この大学だけです。
何を学ぶのかと言ったら名前の通り食品を容器への充填から密封、そして殺菌までの一連の工程を学びます。
就職率は開学以来ほぼ100%であり、就職先としては東洋製罐グループは勿論、ほぼ食品メーカーへ就職しています。
定員は35名と少人数制となっており、学費は初年度年間60万円と安いです。
就職人気の高い食品メーカーへの就職に強く学費も安いので意外と倍率が高く、やはり偏差値は気にしない方が良いでしょう。
京都医療科学大学
学校法人島津学園が運営する京都医療科学大学は、島津製作所によって出資設立された大学です。
京都医療科学大学はもともと大学ではなく京都医療技術専門学校という専門学校でした。そこから短期大学になり約10年ほど前に大学へとなっています。大学としての歴史は浅いですが高等教育機関としての歴史は古い大学です。
評判は良く、学科は放射線技術学科が設置されており、基本的には放射線技師の国家資格を目指す事になります。
就職率はほぼ100%であり、就職先もほぼ医療機関へと就職をしています。島津製作所系列の医療関連へ就職をしている方もいます。
定員は80人と少人数制の大学であり、倍率も高く人気もありますので偏差値は気にしない方が良いでしょう。
流通経済大学
学校法人日通学園が運営する流通経済大学は、日本通運によって出資設立された大学です。
附属高等学校もあるため比較的知られている大学であり、この中では大規模な大学です。
しかし学科ごとの人数は100から200人程度であり、必修となっているゼミも20人程度の少人数制となっています。
評判は意外と良く、学部は経済学部、社会学部、流通情報学部、法学部、スポーツ健康科学部で、主に文系学部が設置されています。
就職率は98.9%(2018年度)で、就職先も日通系列や鉄道会社などの運輸・物流を始め金融機関や公務員など多岐に渡ります。
近年は合格者に対して入学者が少なく定員割れをしている学科もありますが、志願者自体は多いので偏差値が低くとも安易に考えない方が良いでしょう。
東京都市大学
学校法人五島育英会が運営する東京都市大学は、東京急行電鉄によって出資設立された大学です。
もともとは武蔵工業大学でしたが、東横学園女子短期大学が統合し約10年ほど前に東京都市大学となりました。ですので大学の歴史は浅いが高等教育機関としての歴史は古い。
幼稚園から小中高の付属教育機関を有しており大規模な大学、志願者数も2万人を越えている人気の大学となっています。
評判も良く、そのため倍率は非常に高く偏差値はそこそこでも全く油断なりません。
学部は理工学部、建築都市デザイン学部、情報工学部、環境学部、メディア情報学部、都市生活学部、人間科学部で、主に理系学部が設置されています。
就職率は99.3%(2018年度)となっており、就職先も大手企業が多いです。何故か東京急行電鉄よりJR系列へ就職する学生が多くなっているのは面白い。
亜細亜大学
学校法人亜細亜大学が運営する亜細亜大学は、東京急行電鉄によって出資設立された大学です。
大学グループ「大東亜帝国」の亜担当として有名な亜細亜大学ですが、前述の東京都市大学と同様に東京急行電鉄が関わっている事は殆ど知られていません。
大学単体ではありますが大規模な大学であり、有名人・著名人も輩出しているため知名度は高いです。
評判は意外と良く、学部は経営学部、経済学部、法学部、国際関係学部、都市創造学部があり、主に文系学部が設置されています。
就職率は98%(2018年度)で、就職先の企業や業界は多岐に渡ります。
知名度が高い大学のため滑り止めで受験する学生も多く倍率は高いです。
武蔵大学
学校法人根津育英会武蔵学園が運営する武蔵大学は、東武鉄道によって出資設立された大学です。
中学お受験での中高一貫校の方が有名となっており、開成中、麻布中、武蔵中は御三家と呼ばれ有名どころではないですが、成蹊大学・成城大学・学習院大学・武蔵大学で構成される東京四大学の大学であり知名度は高いです。
少人数制の大学であり、いくつかのランキングでは1位となるなど評価が高いです。
評判も非常に良く、学部は経済学部、人文学部、社会学部があり、主に文系学部が設置されています。
倍率もそこそこ高く、就職率は98%であり就職先も大手企業や中央省庁など公務員へとなる学生もいます。
成蹊大学
学校法人成蹊学園が運営する成蹊大学は、三菱財閥系によって出資設立された大学です。
武蔵大学と同じく東京四大学の一つである成蹊大学、現在の首相である安倍晋三首相の出身校であり、その他にも多くの有名人や著名人を輩出している知名度が高い人気大学です。
人気と共に評判も良く、学部は経済学部、経営学部、法学部、文学部、理工学部があり、主に文系学部が設置されています。
偏差値も倍率もそこそこで、学部によっては合格しやすい割に就職率は98.6%(2018年度)、就職先は金融機関を始め大企業が多く三菱グループへ就職する場合も多い。
東京工芸大学
学校法人東京工芸大学が運営する東京工芸大学は、コニカミノルタによって出資設立された大学です。
もともとは写真の学校でしたが、工学部・芸術学部ともに学科は時代と共に移り変わっています。
偏差値も倍率も高くはありませんが、ゲームやマンガ学科の人気はそこそこ有ります。評判も意外と良い。
就職率は99.7%(2018年度)であり、就職先の多くは建築や情報通信系企業へと就職をしています。
神奈川工科大学
学校法人幾徳学園が運営する神奈川工科大学は、マルハニチロによって出資設立された大学です。
工科大学としては珍しく看護学科が設置されており、工学部にも臨床工学科が設置されている大学です。
認証評価機関の大学の評価や、クチコミの評判ではそこそこの評価・評判となっています。
就職率は97.6%(2018年度)で、就職先も学科を活かした業界の企業へと就職しています。
星薬科大学
学校法人星薬科大学が運営する星薬科大学は、星製薬によって出資設立された大学です。
就職率は89%(2018年度)、就職先は製薬会社や調剤薬局、ドラッグストアや医薬品卸、医療機関が多く、星製薬の譲渡後はニューオータニが関わることになっていますが、教育基本方針に変わりはなく現在も創設者の意思を継いでいます。
評判はそこそこ、偏差値も倍率もそこそこですが、医学系ですので難易度が高い事に変わりはありません。
東京経済大学
学校法人東京経済大学が運営する東京経済大学は、旧大倉財閥(オークラ)系によって出資設立された大学です。
学部は経済学部、経営学部、コミュニケーション学部、現代法学部があり、主に文系学部が設置されています。
就職率は96.1%(2018年度)、就職先の業界は多岐に渡っており、多少サービス業が多い。
少々財務状況が厳しい時期もありますが、新札1万円札となる渋沢栄一も設立に携わっている大学であり、偏差値は普通ですが倍率は高く有名人や著名人を多数輩出しており意外と人気であり、改善勧告を受けてからは評判も良くはなってきています。
流通科学大学
学校法人中内学園が運営する流通科学大学は、ダイエーによって出資設立された大学です。
学部は商学部、経済学部、人間社会学部があり、主に文系学部が設置されています。
就職率は98.7%、就職先は小売・サービス業が多い。
偏差値は高くなく、倍率も学部によっては高いが全般的には丁度良い感じとなっています。評価や評判もそこそこな感じです。
産業技術短期大学
学校法人鉄鋼学園の運営する産業技術短期大学は、日本鉄鋼連盟によって出資設立された大学です。
企業ではなく業界団体が携わって設立された少人数制の短期大学です。
主に工学系の学科が設置されており、機械工学科、電気電子工学科、情報処理工学科、ものづくり創造工学科があります。
就職率は97.8%で、就職先はほぼ鉄鋼業界でしたが、近年は機械・精密・素材メーカーや情報通信への就職も増え、国立大への編入も多いです。
倍率もほぼ定員通りであり、偏差値も高くはありませんが、大学の性質上、入学の目的を持っていない場合は少々ついて行くのが難しいと感じるでしょう。
京都先端科学大学
学校法人永守学園が運営する京都先端科学大学は、日本電産によって出資運営された大学です。
もともと学校法人京都学園が運営していた京都学園大学ですが、日本電産の創業者であり会長でもある永守重信氏が巨額の寄付を行い理事長に就任しました。と書くと買収したと勘違いしそうですが、そうではありません。
昨年の事であり各方面で報道されていますので詳細はインタビュー記事を読んだ方が早いと思います。
企業系大学の就職率と就職先は?
この様に大学設立に出資や関わった企業が幾つかありますが、就職先は必ずしもその企業へと就職する・できる訳ではない事が分かると思います。
しかし企業系大学の就職率が全般的に高い事から、そういった点で企業との繋がりは強いと感じますね。
もともと企業の教育事業から始まっている事が多く、企業系大学のメリットとしては少人数制で理系が多い事から知名度が低い大学も多い反面、学費が安く、講義・ゼミを集中して受ける事が出来るため、知名度が低くても評価が高く倍率も軒並み平均以上である事も特徴的です。
企業系大学へ進学した方が良い?
就職率が良いなら企業系の大学へ進学した方が良いのでしょうか?と言う質問が幾つかありますが、そう単純な問題ではありません。
現状の就職率は人手不足などによる空前の売り手市場と呼ばれており各大学とも就職率が高いのは当たり前です。何しろ大卒就職率98%ですから・・・そんな中で就職率を語るのは意味ないとは思います。
前述の通り企業系の大学は各大学とも個性や特色があります。
いわゆるマンモス校の個性や特色とは異なりますので、周囲に流される事は少ないですから、その点では企業系大学での就職は良いのではないでしょうか。
就職が心配なのであれば、就職ナビでの就活よりもサポートが手厚い就職エージェントの利用をおすすめします。
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